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桜の香りを体験したいなら大島桜(オオシマザクラ)に鼻を近づけてみよう

  
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桜の香りを体験したいなら大島桜(オオシマザクラ)に鼻を近づけてみよう

関東近郊では、3月になると桜の話題が賑やかになります。

日本人にとって、桜は観る花ですが、桜の名所ではあんなに満開になっているのに、まったく桜の香りがしないというのも、ちょっと嗅覚には寂しげです。

 

それでも、「桜の香り」と聞くと、なんとなくイメージが湧いてしまうのはなぜでしょうか。

それは、桜餅や桜湯の体験にあるのです。

 

香りがする桜の種類は少ない

日本で桜といえばソメイヨシノですが、どんなに感覚を研ぎ澄ませても、桜らしい香りはしません。無臭です。
強いていえば、なんとなく水分を感じさせるような香りが感じられなくもないですが、私たちの中でイメージしているような薄いピンクを想像させるような香りではありません。

本当に少しでも香りがあるのであれば、あれだけ満開に咲いている桜の下では、ほのかに香っていてもいいはずです。

 

でも、桜餅に桜の葉っぱが巻いてあったり、塩漬けになった桜の花を浮かべた桜湯を味わったことのある人であれば、なんとなく桜の香りを知っていると思います。

 

大島桜(オオシマザクラ)

 

日本で桜らしい香りのする桜といえば、大島桜(オオシマザクラ)です。ソメイヨシノよりも数日早く開花する桜です。

その名の通り、静岡県の伊豆大島に多く自生している桜です。白い花びらと花が咲くのと同時に、少し若葉が芽吹くのが特徴です。

 

そして、花に顔を近づけると、ほんのりと、あの桜餅のような香りがします。葉っぱも出ている花を選んで嗅いでみると、よりわかりやすいと思います。

実際に、花からも葉っぱからも、ほんのりと香りがします。

 

この香りの中心となっている成分はクマリンという芳香物質で、あの桜餅っぽい香りは、この成分の仕業なのです。

実はこのクマリン、世界で初めて人工的に合成することができた香料として知られています。

調香で香りの勉強する時には、香料の歴史の中で必ず出てくる香料なのです。

 

駿河台匂(スルガダイニオイ)

 

さて、大島桜の他には、香りがする桜はあるのでしょうか。

少しマイナーな桜ですが、駿河台匂(スルガダイニオイ)という桜も、桜餅のような香りがします。実は、こちらも、桜の系統的にはオオシマザクラ系。

 

ただ、花が開花する時期は、オオシマザクラよりも半月ほど遅れて開花し、4月中旬ごろに見頃を迎えます。

 

桜の香りはいつチェックするのがいい?

 

桜に限らず、花全般に言えることですが、花の香りがいちばん香ばしいのは朝です。花の芳香物質は無限ではありませんし、花が若い時の方が、まだ香りの成分が残っているからです。

 

それから、生態系的な観点からも、植物は子孫を残すために、受粉して種を作らなくてはなりません。そこで、芳香を拡散して、虫たちに花にきてもらい、受粉を助けてもらうのです。

 

そのため、空中を飛び回る虫たちが寝静まっている夜間ではなく、日が昇って、あたりが明るくなってきたときに、花々は香りを放つのです。

 

そのようなわけで、香りを体験するのであれば、朝にチェックすることをお勧めします。

花の姿形だけでなく、香りの美しさも体験できることでしょう。

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